ゼンショーフェアトレードの取り組みを現地よりお届けします!

Fair Trade Report

『母子健康プログラム』でお母さんと赤ちゃんを守る


2009年からコーヒーのフェアトレードを行っているタンザニア。

キリマンジャロ山麓に広がるコーヒーの生産地域では“多産多死”が、母親とその赤ちゃんをとりまく問題の根源にありました。

母親は・・・・
不衛生な出産環境のため、生まれてくる赤ちゃんの声を聞くことなく、顔を見ることなく亡くなってしまう。
出産を繰り返し、家事・仕事・育児に忙殺され、すべての子どもに愛情を注げない。

赤ちゃんは・・・・
不衛生な環境の中、感染病などにかかり健康に育つことができず、多くの場合5歳になる前に亡くなってしまう。
母親のぬくもりが失われた家庭で、寂しさと悲しみを抱えて生きていかなければならない。

この土地では、多くの子どもを持つこと(多産)が将来への投資になると考えられ、生き残った子ども達が多ければ多いほど、親の生活が豊かになっていくと信じられていました。

しかし、実際に子どもたちが直面するのは、世代交代のたびに分割される畑、そして、そのたびに収入が減り続ける現実と、中高等教育を受けられずに貧困が更に進んでいく負の連鎖でした。

現地を訪ね現実を目の当たりにしたゼンショーは、この問題を解決するため、フェアトレードによって生まれる社会開発資金を活用して、母子死亡率の低減を目指す取り組みを行うことをコーヒー生産者組合に提案しました。

※社会開発資金・・・原料買取価格の中で現地の人々が必要とする様々な生活改善活動に充てられる金額のこと。

しかし、男性が優位な立場にあるタンザニア古来の社会構造の中、男性に直接利益をもたらさない取り組みには反対意見が噴出しました。ゼンショーは生産者組合と話し合いを重ね、“次世代を担う子どもの健全な成長”が、地域社会の成長と自立に欠かせないということを説明し続け、男性組合員からも合意を得ることができました。

そして、2010年に現地で活動する医療系NPOと提携し「母子健康プログラム」が始まり、18人の衛生指導員が誕生しました。

この衛生指導員は、男女一組となって妊婦が暮らす家庭を定期的に訪問。新しい家族を迎える夫婦に向けて出産に関わる指導、養育方法指導、家族計画指導を行う他、家族の健康についてもサポートしています。このような衛生指導員の活動は母子に恩恵があるだけでなく、家族全体の健康に好影響をもたらすことになり、提案当時は反対していた男性たちからも好評価を得るようになりました。

2012年末には、衛生指導員が120人となり、活動する地域では母子の死亡率が大幅に減少。2017年には、衛生指導員の活躍を知ったタンザニア保健省とも連携し、3年以上衛生指導員の経験を積んだ者は、政府管理の衛生指導員として活動することとなりました。

そして2019年、このプログラムで生まれた衛生指導員は、計213人に達し、今もキリマンジャロ山麓の家々を指導員が訪問、明るく豊かな家庭を目指した活動が行われています。

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