ゼンショーフェアトレードの取り組みを現地よりお届けします!

Fair Trade Report

教育と農業で築くコーヒー生産と地域の未来【ペルー】

2025年7月、フェアトレード部員がペルー北部のコーヒー生産者を訪問しました。

豊かな自然に囲まれたコーヒー産地サンイグナシオを有する、ペルー北部のカハマルカ県。

ペルーなど南米の山間部で食べられている「クイ」というモルモットの仲間

このような山間農村部で先祖代々コーヒー生産を続けてきた人々の間では、伝統的な食習慣など様々な文化が今でも受け継がれています。しかし、長きに渡りこの土地でコーヒーと共に暮らしてきた人々の未来が、いま、揺らいでいます。

サンイグナシオでは、農家の後継者不足が深刻な課題となっています。この土地で生まれ育った若者たちは、農家でない他の仕事に憧れて故郷を離れ、都市部に流れてしまう状況が発生しています。このままでは、地域のコーヒー産業が続かなくなるだけでなく、耕作放棄地が増えることで土壌が荒廃し、将来の食料生産に悪い影響を及ぼす可能性があります。

さらに、都市部と農村部の教育格差が後継者不足に拍車をかけています。サンイグナシオのような農村部の学校では、教員や教室が常に不足しており、一つの校舎を小学生と中学生が分け合って使用しています。ペルーの首都リマのような都市部の学校では一日中授業があるのに対し、農村部ではその半分しか授業がありません。そのため、多くの人々が理想的な学習環境を求めて都市部に移り住んでしまいます。
それでもなお、私たちが取り組みを続けている現地の生産者たちは、いつの日か自分たちの子どもや孫の世代がコーヒー農家を継いでくれることを願いながら、誇りを持って農業と向き合っています。

ゼンショーは2012年から、これらの課題解決に向け、ペルー北部のコーヒー生産者と共にフェアトレードの取り組みを継続しています。これまで社会開発資金を活用し、教育格差の改善や農家の生活向上に取り組んできました。

※社会開発資金…原料買取価格の中で現地の人々が必要とする様々な生活改善活動に充てられる金額のこと。

2013年に建設した図書館では、学校の授業がない午前中に、生産者自らが先生となり、地域の中学生に算数や栄養学などの特別授業を行っています。

また、2013年より生産者の家庭の栄養改善を目的に始めた家庭菜園の活動では現在、生産者が地域の小学生に種まきから収穫、そして収穫した作物を消費するまでの過程を直接指導しています。さらに、子どもたちが家庭菜園で育てた野菜の一部を、2021年に建設されたミニマーケットで販売することで、農業の一連の流れを実際に体験できるようにしています。
これらの取り組みを通して、子どもたちは農業の実践的なスキルを学びながら、その土地への愛着を育んでいます。私たちは生産者とともに、このような経験を通じて、地域社会とコーヒー農家の距離を縮めることで、農業に対する関心と憧れを抱いてもらうきっかけになることを目指しています。
活動に参加している生徒の一人は、「地元の農業を活性化させるために、将来はコーヒーの貿易の仕事に就きたい」と夢を語ってくれました。

今回活動を視察したフェアトレード部員は、「ゼンショーが生産者とともに取り組んできた活動によって、実際に農業に関心を持つ子どもたちが増えており、サンイグナシオの未来を担う若い世代が少しずつ育っていることを確認でき嬉しく思った。これからも、子どもたちが胸を張って農家になりたい、と言えるような環境を目指して、生産者と手を取り合いながらフェアトレードに取り組んでいきたい」と話しました。

ゼンショーは、フェアトレードを通じて、今後もサンイグナシオのコーヒー生産者、そして地域で暮らす人々とともに明るい未来を築いていきます。

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