
野菜摂取量推定装置設置とナッジが
外食での野菜摂取に与える影響
研究の目的
外食の頻度が高いほど野菜摂取量が少なかったとの報告がありますが、一方で外食でも様々な野菜メニューが提供されているため、消費者の意識や行動による要因もあると考えられます。
外食での野菜摂取を促進するため、ファミリーレストラン(ココス)に野菜摂取量推定装置「ベジチェック®」とナッジ掲示物を設置し、ご来店されるお客様に調査を行いました。
この研究は、カゴメ株式会社と共同で行われました。
外食での野菜摂取を促進するため、ファミリーレストラン(ココス)に野菜摂取量推定装置「ベジチェック®」とナッジ掲示物を設置し、ご来店されるお客様に調査を行いました。
この研究は、カゴメ株式会社と共同で行われました。
ナッジとは?
良い選択ができるように「そっと後押しする」のがナッジです。
ついそうしたくなるような環境を整えて、うながします。
ついそうしたくなるような環境を整えて、うながします。
「ベジチェック®」(以下、VC)とは?
- ご自身の推定野菜摂取量が約30秒でわかる機器です。センサーに手のひらを当てるだけで結果がわかります。測定の簡便さが特徴で、他のサービスと組み合わせることで、より行動変容を促すことが期待できます。
※ベジチェック🄬は医療機器ではありません。表示値はあくまでも目安となります。 -
実験方法
ココスの店舗から下記のように選出しました。
- ・VCのみ設置店舗(VC店舗):3店舗
- ・VCとナッジ掲示物の設置店舗(ナッジ店舗):3店舗
- ・対照店舗:6店舗

ナッジ掲示物については下記を設置しました。
- ・VCの位置を示す床面ステッカー…図1
- ・VCの設置を告知し、測定をうながす漫画を掲載した卓上メニュー…図2
- ・VCの測定結果に応じた推奨野菜メニューを記載したポスター…図3
30日間、VCおよびナッジ掲示物を設置し、以下の調査を行いました。
- ・VC測定率
- ・野菜摂取に関する意識についての出口調査
- ・推奨野菜メニュー注文率の測定
結果と考察
VC測定率・測定回数
VC測定率
平日と比較して
休日で有意に高くなりました(p<0.001) 。
平日と比較して
休日で有意に高くなりました(p<0.001) 。

VC測定数
平日夜時間帯はナッジ店舗で測定回数が上がる傾向が示唆されました。
平日夜時間帯はナッジ店舗で測定回数が上がる傾向が示唆されました。

- 平日より休日の方が有意に高くなりました。ナッジの有無での差はありませんでしたが、平日の夜時間帯ではナッジ店舗で測定回数が高くなる傾向がありました。
- ナッジの効果は曜日・時間帯による違いがある可能性が示唆されました。
出口調査
VC測定後の野菜摂取意識
VC測定後の野菜摂取意向について、「思わない」「いずれ実行したい」「半年以内には実行したい」との回答を野菜摂取意向が低い、「すぐに実行したい」「今回の食事で実行した」との回答を野菜摂取意向が高いと分類し、カイ二乗検定をした結果、店舗別では有意な差は認められませんでしたが、平日休日別では平日と比較して休日の方が野菜摂取意向が高い割合が有意に高くなりました(p<0.05)。
VC測定後の野菜摂取意向について、「思わない」「いずれ実行したい」「半年以内には実行したい」との回答を野菜摂取意向が低い、「すぐに実行したい」「今回の食事で実行した」との回答を野菜摂取意向が高いと分類し、カイ二乗検定をした結果、店舗別では有意な差は認められませんでしたが、平日休日別では平日と比較して休日の方が野菜摂取意向が高い割合が有意に高くなりました(p<0.05)。
VC再測定の意思
「1週間以内に測定」「2週間以内に測定」「1ヶ月以内に測定」の回答を再測定意向が高い、「いずれ測定」「測定しない」の回答を再測定意向が低いとし、カイ二乗検定した結果、平日休日では有意な差は認められませんでしたが、店舗別では、ナッジ店舗と比較してVC店舗の方が再測定意向が高い割合が有意に高くなりました(p<0.05)。
「1週間以内に測定」「2週間以内に測定」「1ヶ月以内に測定」の回答を再測定意向が高い、「いずれ測定」「測定しない」の回答を再測定意向が低いとし、カイ二乗検定した結果、平日休日では有意な差は認められませんでしたが、店舗別では、ナッジ店舗と比較してVC店舗の方が再測定意向が高い割合が有意に高くなりました(p<0.05)。
- 回答者のVC測定率は52.3%(VC店舗45.4%、ナッジ店舗58.3%)であり、多くのお客様に野菜摂取に関する自己アセスメントを促すことが出来たと示唆されました。
- VC測定後ではいずれの日、いずれの店舗でも野菜摂取の意向が高い回答が多く、VCを活用して野菜摂取の自己アセスメントをすることは、外食において野菜摂取を促進できる可能性があります。
- 出口調査においては、平日においてVC店舗と比較してナッジ店舗で測定率が有意に高くなりました。
- 10代、20代といった若い世代での測定率が高く、野菜摂取量が少ない若い層に対して野菜摂取を意識付けることが出来る可能性があります。
- 小学校以下のお子様づれのグループの測定率が高く、調査時の非参与的観察においてもお子様がはじめに測定する、 保護者がお子様に測定を促す場面が多くみられました。
- VC測定後の野菜摂取意向に関して、平日では「今回の食事で実行した」回答は得られなかったが、休日では20%の人が回答しました。そのため、平日と休日ではVC測定後の野菜摂取の意識や行動変化が異なる可能性があります。
推奨野菜商品注文率
休日でナッジ店舗の方が推奨野菜商品選択の割合が有意に高くなりました(p<0.05)。

- ナッジ店舗での推奨野菜商品のうち有意に高くなったのは、ほうれん草とベーコンのソテー、温野菜のシーザーサラダなどでした。
- ほうれん草とベーコンのソテー、温野菜のシーザーサラダは出口調査で半数以上占めていた測定結果レベル5未満の方に推奨していたことや、手ごろな価格でベータカロテンの摂れる緑黄色野菜を含む商品だったことが考えられます。
野菜メニューのあるファミリーレストランに野菜摂取量推定装置やナッジ掲示物を置くことで野菜摂取をうながすことや食育の場につながるかもしれないことが示唆されました
※この研究の結果は、
第71回日本栄養改善学会学術総会で発表しました。
第71回日本栄養改善学会学術総会で発表しました。