「食の安全」を支える ~中央分析センターの仕事~


分析、考察する力を身に付けながら、“食の安全”を追求する

“食の安全”を最優先に掲げるゼンショーグループ。使用する食材の安全性を自社で確認するため、2006年、神奈川県川崎市に「中央分析センター」を設立しました。

中央分析センターでは、野菜を中心に行われる「残留農薬検査」、食材となる家畜の治療などで使われた医薬品を調べる「動物用医薬品検査」をはじめ、「重金属検査」「放射線検査」など、様々な有害物質が問題となる量が含まれていないかを確認しているほか、「遺伝子組み換え作物検査」では原料の混入を確認するなど、検査項目は多岐にわたります。ここで検査をすることで、すべての原材料の品質や安全にしっかりと責任を持つことができるのです。

今回は、ここ中央分析センターで食材分析に携わる、グループ食品安全保証本部の松木美紗スタッフに、センターでの仕事について聞きました。

「この中央分析センターでは、外食業界において最高水準の分析機器を導入し、国が定める基準よりもさらに厳しく分析を行うほど、“食の安全”を追求しています。高度な分析により、食材のリスクの小さな変化にいち早く気付くことができ、対策を各部署に働きかけるなど、安全な食品を提供する仕組みづくりの一翼を担っています」

入社後すぐに中央分析センターに配属され、間もなく2年が経つ松木スタッフは、主に重金属検査を行うかたわら、残留農薬や動物用医薬品の検査業務も担っています。さまざまな任務を担当しているなかで、うまく検査結果を出すことができずに苦労することもあると話します。

「結果がうまく出せなかった時、なぜそうなってしまったのか考察をする力が足りなくて未熟さを感じることもあります。そんな時は上司や先輩に相談しますが、答えは教えてもらえません。考える力を付けさせるためにヒントを与えてくれるのです。そのヒントを大切に、自分で調べ、解決することで、日々成長を実感しています」

食材と分析項目の組み合わせは膨大にあるため、既存の分析方法ではうまくいかないのはよくあること。松木スタッフは自身の力で解決し、常に適正な分析を行えるように考察を重ね、検証や改善を行っています。 周りのサポートもあり、業務の課題、個人の課題をクリアしながら、中央分析センター全体のレベルアップを実現しています。

高水準分析機器の利点はスピード。
いち早くお客様に安心を届けることができる

どの分析も分析業務は、「均一化」「前処理」「測定」の3つの工程に分かれます。 まず行うのは「均一化」。ひとつの食材でも場所によって農薬などの化学物質が付着しているところとしていないところがあります。フードプロセッサーでペースト状にし、均一化することで、対象の見逃しを防ぎます。

次の「前処理」では、食材に溶媒などを加えて農薬などの成分を溶かし出します。この中には分析の邪魔になる食材由来の成分も含まれているため、それらを吸着させて除去。その後、高水準な分析機器で「測定」を行う流れです。 高水準の分析機器を導入するメリットについて松木スタッフは話します。

「スピードアップが一番の利点です。前処理では食品由来の成分を取り除く工程がありますが、高水準の分析機器を使用することで、前処理を簡略化しても農薬などを検知できるようになります。食材によっては前処理の時間を大幅に短縮できるのです。さらに機器での測定も短時間で済みます。高い精度を保ちつつ、厳しい要求水準を満たすことは、高水準の分析機器だからこそできるのです」

以前は「前処理」に半日、「測定」に1日以上かけていたところを、高水準分析機器の導入により、朝始めたら夕方には結果を出せるまで時間を短縮できるようになりました。 特に急を要する分析では、このスピード感がものを言います。

「つい最近の事例では、今年の1月末、栃木県産のとちおとめから基準値以上の農薬が検出されたという報道がありました。対象のとちおとめは、ゼンショーグループでの扱いはなかったものの、急遽、使用しているいちごを検査。その日のうちに安全であることが確認できました。いち早くお客様に安心をお届けできるのも自社に高水準の分析機器があるからこそです」

責任感を持って正しい結果を出し、
“食の安全”を牽引する我が社に貢献したい

食の安全を保証する中央分析センターでは、常に正確な分析が求められます。

「最も気を遣っているのは間違った結果を出さないこと。農薬などの残留を見逃すことがあっては絶対にいけません。『必ず正しい結果を出す』という強い責任感を持って分析しています。あとはスピード感ですね。分析作業が滞ってしまうと食材の調達に影響が出てしまうので、『早く正しい結果を出すこと』が私の使命です」

さらに、分析業務のすべてをできるようになること、それにより多方向から考察して答えを導き出す力を付けることが今後の目標と語る松木スタッフ。

「ゼンショーが“食の安全”を第一に考えていることは、常に肌で感じています。食の安全は他社と競い合うのではなく、業界全体で底上げしていくべきこと。世界一を目指しているゼンショーグループがリーディングカンパニーとして食品業界全体を引っ張っていける存在になるよう、中央分析センターの業務を通じて貢献できればと考えています」

“世界から飢餓と貧困を撲滅する”という企業理念に感銘を受け、そのためには食品が安全でなくてはならないという想いを胸に、中央分析センターへの配属を希望した松木スタッフ。 今後もお客様の安心のためにスキルアップを目指し、食の安全への熱い気持ちを忘れずに食材と向き合っていきます。

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