キーワード解説
食中毒
サルモネラ感染症
サルモネラ感染症とは、サルモネラ菌により胃腸炎などの症状を起こす病気。細菌性の食中毒は、7~9月に多く発生しています。
【症状】
8~48時間で腹痛、下痢、発熱が起こる。
【原因と特徴】
- 1原因食品の多くは加熱が不十分な肉や卵。
- 2動物の腸内にいることが多い。
【予防法】
- 1肉は中心部まで火を通す。
- 2生肉が他の食材に触れないように調理する。
- 3調理器具はこまめに手を洗い、生肉に触れた後はしっかりと洗う。
- 4ペットなど、動物に触れた後はしっかりと手を洗う。
ヒスタミン食中毒
【症状】
喫食直後から1時間くらいで、顔面紅潮、発疹等のアレルギー様の症状。
【原因と特徴】
- 1原因食品の多くは赤身魚やその加工品。
- 2鮮度低下の過程で、ヒスタミンを生成する細菌の作用でヒスタミンが高濃度に生成されます。
- 3ヒスタミンは熱に強く、一度魚肉に生成されると取り除くことは出来ません。
【予防法】
- 1新鮮な魚を購入すること。
- 2保存する場合は、冷蔵(10度以下)や冷凍で行う。絶対に室温で放置しないこと。
- 3生魚は冷凍と解凍を繰り返さない。
- 4古くなった赤身の魚は火を通しても食べないこと。
※ヒスタミンが大量に生成されても、外観や臭いは変わりません。
参考: 東京都福祉保健局
ノロウイルス
参考: 食品安全委員会資料
セレウス菌
食中毒菌の一種で、土壌、河川、動植物など、自然界に広く生息する菌のこと。
耐熱性の芽胞を作るため高温でも死滅せず、食品中で菌が増殖する際に毒素を作り、食中毒を起こします。また、この毒素も耐熱性のため、食事の前に加熱しても分解されません。
ピラフ、スパゲティなど米飯や麺類による食中毒が多く、前日のものを翌日に食べるなど、室温で長時間放置された食品を中心に食中毒が発生しているため、加熱済みでも過信は禁物です。
参考: 食品安全委員会資料
農産関連
圃場
作物を栽培する田畑のこと。
定植
苗を苗床から移して、田畑に植えること。
現在の葉菜類の栽培では、直に畑に種を播く直播きではなく、苗をある程度の大きさまで成長させてから田畑に移す定植が主流です(一部野菜を除く)。
定植のメリットは、ポットで苗を栽培することによって病虫害の発生を防ぎ、生育のそろった苗作りが可能になること。また、ビニールハウスで育苗すると温度管理ができるので、順調に成長する確率が高くなります。
活着
移植や挿し木、接ぎ木をした植物が、根づいて生長すること。
穀粒測定
米粒の品質測定。一定量のお米の中に存在する整粒等の割合を%で示したものです。
整粒とは対象とするお米から、砕粒(欠けているものや割れているもの)や死米(米の成熟が途中で止まり光沢がないもの)などを除いた、形が整っており被害を受けていないものをいいます。
食味値
お米の各成分の含有量を測定し、食味方程式により導き出された品質評価値のこと。一般的に数値の高い方がおいしいとされています。
- 1アミロース...お米のデンプンの中のアミロースの量
お米の主成分であるデンプンは、アミロース(お米を硬くし粘り気を少なくする性質)とアミロペクチン(粘りの成分)でできています(もち米は100%アミロペクチン)。
日本では「粘りのある」お米が好まれるため、アミロースの割合が低いほどおいしいお米になります。 - 2たんぱく質...お米の中のたんぱく質の量
タンパク質は水を通さずお米の吸水を阻害するため、少ないほうがおいしいお米になります。 - 3水分...お米の中の水分量
基準(16%)の範囲内で、水分の高いお米ほどおいしいお米になります。 - 4脂肪酸度...脂肪の酸化度
お米に含まれる脂肪は時間が経つにつれ酸化するので、この数値が低いほど新鮮でおいしいお米になります。
畜産関連
肉骨粉
特定危険部位
BSE
クローン
「遺伝的に同一である個体や細胞の集合」を指します。
哺乳類のクローン技術は、受精卵クローンと体細胞クローンという大きく2つに分けられます。
その技術のベースは卵の核移植技術です。受精していない卵の核を取り出し、すでに受精した卵や、生体由来の通常細胞(減数分裂していない)の核を移植し、それを子宮に戻し産子を得るものです。
受精卵クローンについては、体外で授精させた卵が分裂し増えたものを使用します。
体細胞クローンは、現に生体を構成している細胞由来の核を使用します。体細胞クローンの特色は、生殖を伴わない無性生殖で個体を増やすという点です。
両方の技術とも、遺伝組み換え技術を伴うものではなく遺伝子組み換え食品の問題とは別のものです。
食品法規/食品表示
賞味期限
賞味期限とは、食品を開封していない状態で表示されている保存方法に従って保存した時に、味と品質を保てると製造業者が認める期限のことです。
ですから、賞味期限が過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。しかし、開封後や保存方法が適切でない場合には、期限内であっても安全とは言い切れませんので、早めに消費するようにしましょう。
JAS法
正式には「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」のこと。農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることにより一般消費者の選択に役立たせる目的で制定されています。
一般消費者向けに販売されるすべての飲食料品(一部除く)について表示が義務付けられています。その具体的な表示事項、表示方法等は、生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準等、飲食料品の種類に応じて定められています。
参考: 農林水産省
食品安全関連・制度・しくみ
HACCP
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品の衛生管理の手法のことです。
これまでの食品の安全性への考え方は、製造する環境を清潔にし、きれいにすれば安全な食品が製造できるであろうとの考えのもと、製造環境の整備や衛生の確保に重点が置かれてきました。
そして、製造された食品の安全性の確認は、主に最終製品の抜取り検査(微生物の培養検査等)により行われてきました。
HACCP方式は、これらの考え方ややり方に加え、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ危害を予測し、その危害を防止(予防、消滅、許容レベルまでの減少)するための重要管理点を特定して、そのポイントを継続的に監視・記録し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決するので、不良製品の出荷を未然に防ぐことができるシステムです。
参考: 財団法人食品産業センター
トレーサビリティ
食品におけるトレーサビリティとは、生産、加工、流通、販売などの各段階において、食品に関する情報を追跡できることという意味です。
問題が発生した際の原因究明や回収の迅速化、消費者の信頼を得られるなどのメリットがあります。
※トレーサビリティ(traceability)とは、英語のtrace(追跡する)+ability(~できること)を合わせた言葉です。
参考: 農林水産省
放射線照射、放射線照射食品
農作物の発芽抑制、熟度調整、食品の殺虫・殺菌などを目的として、食品にX線、ガンマ線や電子線などの放射線を食品照射することや、その食品のこと。国ごとに、照射対象食品、線量が法律により決められています。
※香辛料に関しては、食品品目の中では最も多くの国々で放射線照射の許可対象となっており、EUの全加盟国、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドなど、大半の先進国及びその他食品照射を実施している幅広い国々において許可されています。一方、日本ではじゃがいもへの照射しか認められていないため、香辛料の輸入にあたっては注意が必要です。
参考: 厚生労働省発表
発色剤
発色剤はハム、ソーセージ類等の色や風味をよくするために使用される食品添加物として指定されているものです。亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムが指定されています。食品衛生法により健康に全く影響しないとされる、製品中の残存量が定められています。
参考: 東京都福祉保健局資料
残留農薬
農薬は、病害虫からの被害を防いだり、雑草を除去したりするために使われます。しかし、目的とした作用を発揮した後、ただちに消失するわけではありません。このように農薬を使用した結果、作物などに残った農薬を「残留農薬」といいます。誤った使用等により、農薬が作物に多く残留し、それを人が摂取してしまう恐れもあります。そのため、農薬使用管理や検査等を厳格に行うことが必要です。
統計
食料自給率
その国で消費される食料のうち、どの程度が自国の農業生産でまかなえているかを表す指標のこと。
食料自給率には、重さ、カロリー、生産額の3種類の計算方法があり、一般的に食料自給率と言われるものは、カロリーベース(供給熱量総合食料自給率)が使用されることが多いです。
それは、食料が命と健康の維持に欠かすことのできないものであるということから、その栄養価であるエネルギー(カロリー)が国産でどの程度確保できているかという点に着目しているためです。
カロリーベースの食料自給率は、国民に供給されている食料の全熱量合計のうち、国産でまかなわれた熱量の割合を示したものです。
カロリーベースの食料自給率=国民1人1日あたり国産熱量÷国民1人1日あたり供給熱量×100
参考: 農林水産省 食料自給率とは